すきっ歯とは、歯と歯の間に隙間がある状態のことです。正式には「空隙歯列(くうげきしれつ)」と呼び、歯並びが悪い状態を指す「不正咬合」のひとつです。特に目立つ前歯の間に空間ができていることを「正中離開(せいちゅうりかい)」ともいいます。今回は子どものすきっ歯についてどのようなリスクがあるのか、また、治療方法についても詳しく解説していきましょう。
すきっ歯の状態では、歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなります。家では気をつけていても、外食時などにはそのままになってしまうこともあるでしょう。気をつけて歯磨きをすればよいのですが、すきっ歯の場合、歯磨きもしずらく磨き残しがあることも多く、虫歯につながる可能性があります。
不正咬合全体に言えることですが、すきっ歯も食べ物がうまく噛めないという症状があります。自分ではきちんと噛んでいるつもりでも、特に麺類や食物繊維が多い食べ物が噛めていないケースが多いです。しっかりと噛めないと、胃や腸に負担がかかることもあります。
すきっ歯の場合には、歯と歯の間から空気が抜けてしまうために、発音が不明瞭になることがあります。特にサ行の発音がうまくいきません。子供同士でも発音はコミニュケーションの基本です。うまく発音できないことでコンプレックスを抱えてしまうこともあるかもしれません。
まず、なぜすきっ歯になっているのかの原因を特定します。子供はアグリーダックリングステージ(みにくいアヒルの子時代)といって、歯の生え変わり時期に一時的なすきっ歯状態になりますので、病的なすきっ歯との鑑別が必要なのです。
検査の結果、治療が必要と判断されれば、ワイヤー矯正やマウスピース矯正で治療をおこないます。子供の場合、顎の成長を利用できますので、適応症例であれば取り外し可能なマウスピース矯正が向いているといわれています。
前歯がすきっ歯になる正中離開の場合、上唇小帯(じょうしんしょうたい)と呼ばれる粘膜(前歯の付け根から唇にかけてつながっている部分)が異常発達したことにより隙間ができていることがあります。その場合には日帰りですが、手術をしてから矯正治療をすることになります。
永久歯に生え変わる6歳から7歳頃にすきっ歯が多く見られます。しかし、前述したようにアグリーダックリングステージによる、治療の必要がない場合もあります。必ず検査を実施し、経過観察をして、7歳頃から治療をするか判断することになるでしょう。
ほかの不正咬合と同様に、子どものすきっ歯も基本的には健康保険の適用になりません。ただ、ごく一部ですが、先天的な病気が原因で顎の骨が変形しているなどの症状があれば、保険適応になるケースもあります。詳しくは歯科クリニックで相談しましょう。
前述のように、永久歯に生え変わる時期にはアグリーダックリングステージといって、前歯がすきっ歯状態になるのが普通です。永久歯に適切に生え変わるように顎骨が成長するため、このような現象が起こります。このような場合には犬歯が生えてくると自然に隙間は埋まります。隙間が埋まらない場合には、治療が必要となりますので、注意して経過を見てください。