矯正歯科では、噛み合わせが深いことを過蓋咬合と言います。上の前歯が下の前歯を過剰に覆いかぶさっている状態で、下顎の前歯が見えないなどの見た目が特徴です。この過蓋咬合の状態では顎の動きが制限されてしまい、顎の関節に痛みなどの症状が出ることもあります。今回は子供の過蓋咬合について、詳しく解説していきます。
子供でも歯は非常に頑丈ですが、過剰な負担があると削れてしまうこともあります。そうなると、歯の寿命が短くなってしまうことも考えられます。子供の「噛み合わせが深い」症状では、歯ぎしりや食いしばりにより、歯が削れてしまうことがあるので注意が必要となります。
「過蓋咬合」は下の前歯が常に上の前歯に圧迫されているため、下顎の動きが制限されて顎関節症になりやすい特徴があります。噛み合わせが深いことで顎と歯、両方に負担がかかることがあるのです。顎関節症は早期治療が重要で、顎の症状や音があれば歯科医院でチェックを受けましょう。
噛み合わせが深い症状では、下の前歯が上の前歯の歯茎を圧迫し、口内炎や炎症を引き起こしやすくなります。また、上の前歯は乾燥して虫歯や歯周病になりやすくなるため、注意が必要です。子供の場合は進行しやすいので、早めの診療と治療が重要です。
過蓋咬合の原因として、口周りの筋肉の弱さや間違った使い方、癖が影響している場合があります。そのような場合には、マウスピース型装置の使用が有効です。シリコンやプラスチックでできたマウスピース型の装置を自宅にいる間に装着することで、悪い癖の影響を取り除き正しい位置に歯を並べて口周りの筋肉や舌を鍛えます。
小学生時期であれば、成長に合わせて上下のあごのバランスを整えるために拡大装置という矯正器具を使って治療をする方法もあります。指しゃぶりや頬杖、唇の癖も早めに改善する必要があります。ただし、この矯正方法はおおよそ小学生以下に限られます。あごの成長が終わってから治療をしようとしても、骨格的にアンバランスが出てしまってからでは矯正治療だけでは治せないからです。
過蓋咬合の治療は3歳から5歳前後から始めるのが理想的といわれています。早期の矯正治療で将来のトラブルを避けられるとともに、顎の成長を利用して比較的容易に治療できるからです。大人になると治療が難しくなるため、小児矯正で治療することが重要となります。
基本的にほかの矯正治療と同様に自由診療となります。ただし、厚生労働大臣が認定した先天的な疾患などに合致していれば健康保険の適用になることもあります。
過蓋咬合は永久歯の生えかわりで自然に治る場合もあります。しかし、前歯のスペースがないと永久歯になっても凸凹歯ならびの原因となります。おおよそ、5歳頃までに判断しますので、気になる方は歯科クリニックで定期的に検診を受けましょう。